女性向けイラストと男性向けイラストの違い

私は女性向けイラストをメインに描いていますが、そもそも女性向けって…一体何だろう？反対に男性向けのイラストとは？

今回は女性向けイラストと男性向けイラストの違いを考察していきたいと思います。

※誤解がないよう前置きとして…『女性向け』『男性向け』という表現をしておりますが、女性であろうが男性であろうが好みには個人差があります。仕事上、ターゲット層に向けて訴求する必要があるため『多数派の傾向』と思われるものに着目しておりますが、もちろんこの限りではありません。

女性が好む絵柄とは？

まずは女性が好む絵柄について考えていきましょう。

女性が好きそうな物って、ファッション雑誌やInstagramなんか見てるとイメージしやすいのではないでしょうか？『可愛い』とか『おしゃれ』であることなどが条件にあがります。

直線的なタッチよりも、丸みを帯びた柔らかなタッチが好まれる傾向にあります。
また、色に関しては淡い色や明るい色が人気です。ふわっとした感じやポップなイメージが『可愛い』につながるんですね。
キラキラした華やかなものも人気です。

女性は細かいところもよく見ている人が多く、ファッションなら小物、さりげない雑貨などの描き込みも『おしゃれ』には不可欠です。
流行にリンクしていることも大事です。毎年変わる流行モノは、男性よりも女性のほうが敏感だったりしますよね。

2頭身などのデフォルメキャラではなく、頭身高めの人物イラストに関してですが、絵の対象が女性でも男性でも細身が好まれる傾向です。女性はスラッとしたスタイルに美を感じるのかもしれません。
体型に関してよく男性はぽっちゃりした女の子が好きだけど、女性はスリムなモデル体型を目指してダイエットするっていう話はよくあります。現実でもイラストの世界でも、好みのスタイルに関しては男女差があるんですよね〜不思議なことに。

あと人物でも動物でも何にしても、見た目がグロテスクだったり性的すぎるものは女性から敬遠される傾向にあります。
男性はそこまで抵抗がない人のほうが多いかもしれませんが、女性は苦手な人が割と多い印象です。

男性が好む絵柄とは？

次に男性が好む絵柄を考えてみます。

イメージとしては『カッコイイ』『力強い』『渋い』あたりがあげられると思います。
柔らかいタッチよりは直線的で勢いのあるタッチが好まれる傾向にあります。

わかりやすく少年漫画と少女漫画を見比べてみますと…決定的な差があることに気づくはずです。
少年漫画の絵柄の多くは、陰影のハッキリしたどちらかと言うとリアルな描写が多いです。
リアルな描写って無機質な物体に対してすごく映えますよね。バイクとか廃墟とか。

体型に関しても、女性向け漫画はスラッとした細身であるのに対し、男性向け漫画ではしっかりした体つきで表現することが多いと思います。とくに男性の筋肉に関しては、力強く誇張されていることが多い印象です。

男性をモデルにした写真って、ハッキリとした陰影がついたものが多いイメージです。クールやワイルドといった雰囲気で、普通に撮影するより見映え良く映りますよね。それに対し女性をモデルにした写真は、光を当てることで明るくしたり加工で凹凸を消したりすることが多いと思います。
それと同じようにイラストの世界でも男女差が反映されています。

色に関しては、淡い色よりもハッキリした色が好まれる傾向にあります。男性のファッションを見ていても、濃い色が多い印象です。そこであえて薄ピンクなどの淡い色が入ると、男性でも柔らかい雰囲気が出ますよね。ただ、そういったふんわりしたカラーを多用するのは苦手な男性が多いのかなと思います。

男性はシンプルなものが好きなイメージがありますが、癖がなくシンプルなタッチは老若男女問わず好印象であることが多いです。

そして、とくに男性に大きな需要のある『萌え絵』についても触れておきます。(萌え絵って死語？)上記の傾向にはあまり該当しないセクシーかつ可愛い萌え絵ですが、ターゲットの多くは男性に向けられているかと思います。
ただ、萌え絵に関しては高い支持率がある一方で、敬遠する男性も少なくないのが実情ではないかと思います。
同じ男性でも、向けられるターゲット層によって好みが分かれるということを理解する必要があります。営利を目的とした場合に、ターゲットを絞ることは非常に重要なので後述します。

男性から見た女性向けの絵柄

男性から見た女性向けの絵柄ですが、キラキラ感やふんわり感など『可愛い』部分に対して疎外感のような感情を抱く人が多いのではないでしょうか。
例えば、スイーツ専門店で女子の行列ができている中に彼女に連れられてきた彼氏のような。(スイーツ男子なら良いんですけど)

脱毛をしたいと思っている男性が、脱毛サロンの広告を見たとします。そこに描かれているイラストがファッショナブルでキラキラした女性向けのイラストだったら、『女性客ばかりなのかな』とそのサロンに行くことは躊躇ってしまうかもしれませんよね。

女性から見た男性向けの絵柄

女性から見た男性向けの力強い絵柄はどうでしょうか。
極端でなければ、そこまで抵抗を感じることは少ないんじゃないでしょうか。少年漫画や青年漫画の絵柄も普通に好きな女性って多いと思います。

ただ、前述したように性的な要素を含むものに関しては、嫌悪感を抱く女性が多いかもしれません。男性目線では割と普通でも、女性目線から見ると苦手な描写だったり。
性的な要素といっても、必ずしも露出度合いに比例しません。水着姿のグラビアアイドルと有名下着メーカーの下着モデルとでは、女性が見て受け取るイメージは全然違ったりするので不思議ですよね。イラストも同様に、見せ方の違いでかなり変わってきます。

ターゲットを絞ることのメリット

『だったら男性にも女性にもどんな人にも好印象な癖のない絵柄にすれば良いのでは？』と思いますよね。

幅広い層の人たちをターゲットにするケースはそれが最善ですが、それだとどうしても印象が薄くなってしまいがちです。

万人ウケするアイドルと自分好みのアイドルだったら、応援したいのは後者のほうではないでしょうか。

やはりターゲットの好みに合わせる=ターゲットを絞ることは、ビジネスの場ではかなり重要だと思います。
女性に訴求したいなら女性向けのイラストを。男性に訴求したいなら男性向けのイラストを。
これが一番効率が良いはずです。

まとめ

ジャンルによったらこの限りではない場合もあります。
もちろんクリエイティブの世界は基本的に自由なので、性差に捉われない素晴らしい作品もたくさんあります。

今の時代に『女性向け』『男性向け』という表現自体がナンセンスかとも思いますが、多くの方にわかりやすい表現にしたかったためご理解いただければと思います。